ピンボールマシン プロダクション

ケッスペシャル5 in 水戸 アフターレポート

会場
伊勢甚泉町北ビル 他

会期
2010年3月21日(日)〜22日(祝)

サークル数
参加サークル数1,500


入場者数
21日(日)1万5千人
22日(祝)1万8千人


更衣室リストバンド数
21日(日)557枚(リストバンド2日間セット300枚含む)
22日(祝)793枚(リストバンド2日間セット302枚含む)


献血数
21日(日)35人
22日(祝)53人


コミケット公式発行物


スタンプラリー協力


コラボレーション商品
商品名商品内容企業名作家(サークル名)
水戸納豆カレーカレーだるま食品(株)介錯(介錯)
水戸黄門漫遊記 萌ぇ〜さぶれ缶入りサブレー亀印製菓(株)いちば仔牛(UGO)
ケッスペシャル5号各地出発バスツアー,臨時団体列車ツアー(弁当付)(株)JTB関東有葉(有葉と愉快な仲間たち)
チョコ納豆チョコレート菓子だるま食品(株)さくら小春(QP:flapper)
桜田門外の変みるくまんじゅう饅頭亀印製菓(株)七尾奈留(あいすとちょこ)
ケッスペシャル5 in 水戸 限定水府提灯提灯プレビ(株)なかじまゆか(Digital Lover)
お菓子スペシャルパッケージお菓子プレビ(株)絶叫(白血球赤血球)
うめ物語梅酒明利酒類(株)蒼樹うめ(apricot+)
若き日の黄門さま焼酎明利酒類(株)ヤマダサクラコ(MICROMACRO)
☆ほしいも泉ちゃん干しいも(株)幸田商店藤枝雅(あとりえ雅)
黄門ろまんクッキークッキー詰合せ(株)きね八中条亮(エデンの林檎)
おにぎりバスケットスペシャル弁当(有)水戸山翠商事あいざわひろし(HIGH RISK REVOLUTION)
「コケッスペシャル5 in 水戸」スペシャル弁当/やっぱ おにぎりだっぺよ!弁当(株)大森食品Dr.モロー(モロモロ)
水戸の美酒 萩野谷なか日本酒吉久保酒造(株)○蜜柑(bolze.)
黄門漫遊乳菓饅頭あさ川製菓(株)広江礼威/平野耕太(TEX-MEX/十月機関)


マスコミ取材
 ケッスペシャル5 in 水戸 取材申込一覧



 次のコミケットスペシャルでは何をしよう?」 30周年記念24耐(!?)コミケットスペシャル4が終わった次の日、いやその瞬間(ちょっと大げさ)から、テーマ探しがはじまりました。前々回のスペシャル3が沖縄、前回のスペシャル4が東京ビッグサイトでの開催ということもあり、スペシャル5を地方で開こうというのは、割と早くに決まったのですが、沖縄をやってしまった以上、「東京からの距離」はテーマになりません。「今度は北海道ですよね?」というお話もずいぶんいただいたのですが、3月の北海道は気候に不安があったのと(雪の中の深夜来訪者とか考えたくもありません)、「スペシャルはみんなの期待と予想を裏切る」のがモットーでもあります。三宅島に船をチャーターしてミステリーツアーとか、いろいろな話が浮かんでは消えていきました。
 そうこうしているうちに、聖地巡礼や萌えブームを背景とした、いわゆる「萌えおこし」的な試みが、各地で行われるようになってきました。これにヒントを得て、コミケットがただ「地方遠征」に行くのではなく、コミケットを核として、地域とコミケットが一緒となって「まちおこし」を行おう、そして、いっしょにやる熱意を持った相手を見つけるために開催地を公募しよう、という案が生まれたのは2008年の初夏の頃でした。
 2008年9月にコミケットの公式Webサイト上で公募を行い、その結果、北は北海道から南は九州まで、20都市(団体)からの応募がありました。これらの応募を審査させていただいたわけですが、会場・その他の施設・交通・宿泊・周辺観光施設などの基本的な評価項目に加え、重要視させていただいたのは「コミケットスペシャルがそこで開かれたら面白いか?」でした。多くのご提案で会場として提示されたのは、スポーツ施設との複合展示施設だったのですが、この立地が、鉄道の駅から遠く、駅からのバスも1時間に数本、自家用車での来場しか想定していないところが大半で、同人誌即売会を開くインフラとしては問題が大き過ぎました。また、市街地から離れ、ある意味隔離された場所で同人誌即売会を開いても、地元との連携は難しく、「まちおこし」にはつながらないであろうことも想定され、こうした提案は、対象からはずさせていただきました。
 その中で、水戸をお相手として選ばせていただいたのは、郊外ではなく、市街地にあって閉鎖された廃ビルを復活させるという提案の面白さでした(このとき、廃ビルを復活させるのに、どれくらいお金がかかるのか、提案した水戸側も、準備会もまったく読み切れていなかったのですが……)。
 水戸側のメンバーは、水戸市役所の若手有志の方々が中心となっていたこともあり、事はスムーズに進むのかとこちらは思っていたのですが、実は、水戸側の組織の立ち上げには相当なご苦労があったようです。10月には内定のご連絡をしていたにもかかわらず、年内に体制が決まらず、冬コミ(コミケット75)で会場を発表することができませんでした。このままの状況では、白紙に戻さざるを得ないのか? という不安さえよぎりましたが、2009年に入ってからの水戸側の皆さんのさらなるご尽力もあり、無事受け入れの体制が整い、晴れて候補地を発表することができました。

 3月には、スペシャル5のための公式Webサイトもたちあがり、1年前の同じ季節に現地を観に行こうと、3月22日、スペシャル5を運営する準備会スタッフの主立った面々で水戸へのバスツアーを行いました。午前中から午後にかけて、会場である伊勢甚泉町北ビルを見学し、電気の通じていない元デパートを『バイオハザード』のようだと面白怖がりつつ、測量作業や設備の確認を行ったり、水戸駅までの道のりや、周辺の空きスペースを歩いて調べたりし、その後、みと実行委員会の皆さんとの顔合わせとなりました。
 このバスツアー等で得た情報を元に、即売会の規模の検討が始めたのですが、机を図面に置いてみたところ、配置できるサークル数が思いの外少ないことが判明しました。また、廃ビル再生には予想外に費用がかかることも、後日の調査でわかりました。そして、「コミケでまちおこし」というテーマからも、1日間だけの開催では不十分だということもあり、今回のコミケットスペシャル5は2日間開催で行うことが決まりました。
 「コミケでまちおこし」というテーマを決めたときから、サークルさんに協力していただいてコラボレーション商品を作ることは既定路線だったのですが、この段階では、正直なところ水戸側の企業さんの多くは、まだまだ半信半疑でいらっしゃる感じが否めませんでした。そこで、無理をしても夏のコミケット76に合わせて、なにかコラボ商品を作って会場で販売し、「売れる」という成功体験を持ってもらおうということになり、急遽お声がけしたところ、乗っていただいたのが亀印製菓さんでした。夏コミ当日、東4ホールには水戸のPRブースが設けられ、サークル参加申込チラシやフライヤー、観光パンフレットの配布の他、『梅さぶれ〜 夏コミに行ってきました。水戸にも行きます。』と名付けたお菓子が販売されました。この『梅さぶれ〜』は、3日目には完売することができ、水戸の皆さんに手応えを感じてもらうことができました。
 9月からは、だるま食品さんの『水戸納豆カレー』のパッケージ開発もはじまり、介錯さんの描いたユニークなキャラクターが強烈なインパクトを加えてくれました。この『水戸納豆カレー』は、本格的なコラボ商品第1弾として、10月末には高速道路のSA・PAなどでの販売が始まりました。その後、商品開発には約10社の企業が参加して準備が進められ、スペシャル5当日までに続々と商品化され、その数は15種類に達しました。こうした商品開発以外にもみと実行委員会との打ち合わせも回数を重ね、少しずつ企画の概要が固まり、また、10月1日からはサークル申込も始まり、約1,500サークルのご応募をいただきました。
 12月、冬のコミケット77でも、夏コミ同様にPRブースを置き、『水戸納豆カレー』と亀印製菓さんの新商品『水戸黄門漫遊記 萌ぇ〜さぶれ』が発売されました。当日の様子は、テレビ東京系の『ガイアの夜明け』でも取り上げられ、多くの反響を呼ぶことになり、このイベントに対する期待が徐々に醸成されていきました。

 今回のスペシャル5ですが、約1年半前から動きはじめ、これまで述べてきたような様々な準備をしてきたわけですが、準備会全体として本格的に活動が始まったのは、やはり、冬コミも終えた年明けからとなりました。1月には、サークル配置が行われ、カタログの作成も急ピッチで進んだほか、各種企画についても、準備が佳境となっていきました。2月16日には記者会見を行い、『うめ物語』をはじめとするコラボ商品がすべて発表になり、注目を集めました。
 当日1ヶ月前の2月20日から、「水戸めぐりスタンプラリー」と「コミケットの歴史展」がスタートしました。スタンプラリーは6ケ所にスタンプを設置、水戸の観光名所である偕楽園、弘道館、映画「桜田門外ノ変」オープンセット等、事前に水戸の街を訪れて、スタンプラリーに参加される方も多数いました。ちょうど梅が見頃な時期であったことから偕楽園を楽しまれた方も多かったようです。「コミケットの歴史展」は、コラボ商品の開発や「同人ゲームクリエーターを応援する部屋」等で協力いただいた、プレビさんのアミューズメント施設・プレビジョイカム水戸50号バイパス店(ここは、スタンプラリーのポイントでもありました)の一角を使わせていただき、歴代のカタログ、ポスター、紙袋、公式グッズ等々を展示しました。
 2月26日にはカタログの事前販売も始まりました。今回の試みとして「カタログ」に水戸の歴史・観光・グルメ・宿泊・お土産などを網羅した別冊水戸ガイドを、付録としてつけてみました(この別冊水戸ガイドは、カタログより少々多めに印刷し、スペシャル5終了後、一部掲載店舗や水戸駅の観光案内所にて無料配布が行われました)。夏冬のカタログ販売にお付き合いいただいている各書店さんですが、地方開催のコミケットスペシャルということもあってか、事前の発注数が控えめで、発売直後に売り切れが続出、担当者は、追加発注の対応に追われることになりました。その他、水戸のタウン誌等でも特集が組まれたり、即売会会場に告知の垂れ幕を設置したり、公式Webでは、各種企画やコラボ商品の告知などが毎日いくつもアップされ、開催に向けて徐々に盛り上がりが高まっていきました。

 設営日は、イスの数が足りないなどトラブルもありましたが、概ね順調に進んでいきました。ところが、徐々に強風が吹き、205基に達した商店街へのスタンド花の設置もままならず、翌日の天気が心配されたのですが、夜半にかけてどんどん風が強くなり、物産展を行う予定の南町自由広場は、テントが吹き飛ばされそうになり、その対応で大わらわになりました。
 そして、迎えた当日。初日の早朝は春の嵐が吹き荒れて、JRをはじめ交通機関が軒並みストップする事態に見舞われました。その後、電車は動き始めましたが、東京発の最初の特急列車が水戸に到着したのが10時過ぎという時間で、まさしく出鼻をくじかれた状態でした。とはいうものの、徐々に風雨はおさまり、開会する頃には、ウソのような晴天に恵まれました。
 メインの同人誌即売会会場は、元々京成百貨店が入っていた伊勢甚泉町北ビルの2階から6階までのフロアを使用しました。1日当たり約750スペース、2日間で約1,500のサークル参加に加え、5階には企画参加のサークルや、企業ブースも配置しました。デパートの内装が残ったままでの同人誌即売会というのは、不思議な風景を醸し出すことになりました。
 一般参加者の待機列は、水戸芸術館の広場に形成しました。待ち時間の退屈さを紛らわしてくれたのは、ご当地ヒーローであるイバライガーRのパフォーマンスでした。この芸術館広場から伊勢甚泉町北ビルへの入場のための列の移動には、横断歩道を渡らざるを得ず、特に初日は誘導に手間取り、ご不便をかけることになりましたが、2日目はよりスムーズな移動をすることができました。芸術館広場と伊勢甚泉町北ビルの間の道路については、水戸警察署に対して車両通行止めにできないかというお願いはしたのですが、対応は難しいということで、その代わり横断歩道の信号の制御は、手動により歩行者優先で対応していただきました。
 コスプレはその水戸芸術館広場と少々離れた三の丸広場の2ヶ所で行われ、こちらの予想よりも上回る多数の参加者で賑わいました。地元の人々にも好評で、写真撮影に列をつくる光景もみられました。
 こうした、いつもながらのコミケットに加えて、通常とは異なるイベントを行うことができるのもスペシャルならでは。1日目終了後の夜には中夜祭を、水戸プラザホテルで行いました。イバライガーRショー、高取ヒデアキさんとNOBUさんによるステージ、オータムリーフ管弦楽団の演奏など盛りだくさんのイベントに500人弱が集まり、盛況のうちに中夜祭を終えることができました。
 その他に、トークイベントとして、今回のスペシャル5のテーマである「まちおこし」を題材とした「コンテンツビジネスと地域振興」と2005年に実施したコミックマーケットの30周年調査報告を下敷きにした「コミケの理想/参加者の現実」の2つのシンポジウム、ラウンドテーブル企画の「コミケットの未来・同人ソフトの未来」、準備会スタッフ経験者である賀東招二さん、氷川へきるさん、松智洋さんによる爆笑トークライブ「みんなコミケで大きくなった!?作家たちのコミケット」が開催され、多くの観客で会場が埋まりました。
 また、周辺のライブハウスを借りて、串田アキラ・宮内タカユキさんのライブ「コミケ スペシャル漢祭」や、ご当地のゲーム会社チュアブルソフトさんの5周年記念スペシャルトーク&ライブ、公募により集まっていただいたアーチストの皆さんによるオールジャンルライブ「コミケLIVE in 水戸」なども開かれました。
 コラボ商品の販売や物産展などを行った南町自由広場は、座って休める場所も用意したこともあって、終日賑わっていました。コラボ商品によっては早々に売り切れてしまったものもありました。

 「まちおこし」をテーマとしたこの「コケッスペシャル5 in 水戸」は、同人誌即売会が核とはなりますが、それだけではなく、スタンプラリーで水戸の街を歩いてもらったり、コスプレを街中で行ったり、硬軟取り混ぜたイベントをあちらこちらで行ったり、関連商品をたくさん作ったりと、「点」ではなく、「面」で水戸を遊んでもらうイベントを目指しました。その際、我々が思った以上に活用されたのが、Twitterだったかもしれません。開催直前に試験的に公式アカウントcmkspを作り、準備会からも情報発信をおこないましたが、それだけでなく、ハッシュタグ#cmksp5には、多数の情報が寄せられ、リアルタイムで電車の遅延情報、コラボ商品の売り切れ情報などが次々につぶやかれていました。参加者が情報を共有し楽しんでいる様は、なかなか面白い体験だったと思います。
 また、今回テーマのおかげでしょうか、マスコミの取材も予想以上でした。通常のコミケットの二十分の一の規模でありながら、49団体86名の取材登録がありました。この数は通常のコミケットの4割程度の規模にあたります。ほとんどが好意的な取材で、コミケット、そして、水戸の街の様子が報じられました。初日より2日目の参加者が多かったのは、2日目朝の地元朝刊各紙にイベントの様子が掲載され、興味を持った地元の方の来場が増えたことによるものです。2日目の午前中には、水戸市長も水戸黄門よろしくお忍びで来訪され、人の多さに感心されていましたし、地元の人たちからは、30年ぶりに街が賑わったというようなコメントもあり、今回の「まちおこし」には一定の成果があったのだと確信しています。
 もちろん、この二日間の「お祭り」だけでは、「まちおこし」たり得ないことは、我々コミケット準備会もパートナーであるみと実行委員会も重々承知しています。しかし、「コケッスペシャル5 in 水戸」とこの2日間のべ3万3千人の参加者が、水戸の方々に与えたインパクトは、決して小さくないとも自負しています。そして、このイベントをきっかけに、水戸の皆さんが、新しいことにチャレンジしていくことを我々は期待していますし、エールを送りたいと思います。

 すべてが終わり、夕闇の中の芸術館広場。撤収した机のトラックへの積み込みを横目に見つつ、締めの挨拶が行われました。集まった一般参加者、サークル、準備会スタッフ、みと実行委員会のメンバーの顔には、概ね満足の表情が伺えたと思います。そして、挨拶が終わった瞬間、「次のコミケットスペシャルでは何をしよう?」という、テーマ探しが、再び始まったのでした。2015年の40周年に、また、皆さんの予想を裏切りつつも、大いに盛り上がることのできるスペシャルな同人誌即売会を開きたいと思います。今回、参加いただいたすべての参加者の皆さん、そして、1年数ヶ月いっしょにこの「コケッスペシャル5 in 水戸」を作り上げたみと実行委員会の皆さんに感謝の気持ちを捧げます。

――また5年後にお会いしましょう。
(2010年6月20日)

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